現在拡大を広げている新型コロナウイルス。
各地域で発症が確認されており、落ち着かない日々を送られていることかと思います。
これからの3月~5月は総会を開催される組合様も多い時期です。
コロナウイルスの感染拡大に伴い、翔設計にも総会や工事説明会等の開催の是非に関するご相談を頂くことも増えております。
特に大規模マンションなど大人数集まることが予想される総会等、開催を悩まれている組合様も多いかと思いますので、下記よくあるご質問をまとめさせて頂きました。
(回答は標準管理規約を基本としています。)
【総会・説明会について】
A1 マンション標準管理組合規約では、「理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に招集しなければならない」(第42-3)と定められております。そのため決算月より2か月遅らせることは規約上問題ないと考えられますが、通常でも議案書の準備等で決算月から総会開催まで1~2か月かかることが一般的ですので、 結果として、あまり大きな延期はできないと考えられます。(例:3月末決算の場合は5月末までに総会を開催) もし通常よりも延期をする場合には、延期の理由を丁寧に区分所有者にお知らせし、協力・理解を得られるよう対応すべきだと考えます。(※各マンションによって期間は異なりますので、ご確認が必要です)
⇒法務省民事局より、下記の内容が更新されたため、弊社もこの見解に従い、一部内容の修正を致しました。↓
「区分所有法においては,管理者又は理事が,少なくとも毎年1回集会を招集しなければならないとされ,集会において毎年1回一定の時期にその事務に関する報告をしなければならないとされていますが(区分所有法第34条第2項,第43条,第47条第12項,第66条),前年の開催から1年以内に必ず集会の招集をし,集会においてその事務に関する報告をすることが求められているわけではありません。
したがって,今般の新型コロナウイルス感染症に関連し,前年の集会の開催から1年以内に区分所有法上の集会の開催をすることができない状況が生じた場合には,その状況が解消された後,本年中に集会を招集し,集会において必要な報告をすれば足りるものと考えられます。」
との文章が掲載されております。
「マンションの管理組合等における集会の開催について」(法務省サイト内部部局民事局)
そのため、今般のコロナウイルスが落ち着くまでは、本年いっぱいの総会延期が認められるようです。
しかし災害時や今回のような状況下で総会を数か月延期することが止むを得ない場合も考えられます。そのためのまた今後の予備対策として、有事の際には柔軟な対応ができるような管理規約に変更しておくことも一つの策です。
A2 総会を延期することで、次年度の予算案が承認されないため、総会で予算が承認されるまで、原則修繕積立金からの支払いを行うことはできません。
但し、長期の施行期間を要する契約で、当初より期をまたいで支払いが発生するような工事が進行しており、止むを得ないと認められるものは支払い可能とされています。
(例:期をまたぐ大規模修繕のような長期的な工事で、既に総会承認を得ているもの等)
また、毎年定期的に実施されている定期清掃などは例外で、総会承認で次年度予算の承認が得られていない場合でも理事会承認を得て支払うことは可能。(経常的で、且つ止むを得ないもの)
A3 組合員全員の承諾がない限り、書面での総会決議はできません。
「総会」は理事長(議長)・監事・議事録署名及び押印2名の参加が必須となります。
そのため、最小人数で総会を開催する場合には、基本的に理事会役員は参加し、その他の区分所有者は委任状もしくは議決権行使書にて決議を行う方法もあります。その場合、当日の本人出席・委任状・議決権行使書の合計参加数が議決権総数の半数を超えている必要があります。(※普通決議の議事は、議決権総数の過半数で議決されます)
本来、総会は出来るだけ多くの出席者が集まることが重要であり、総会の意義からは反してしまいますが、今回のような特殊な場合、意図的に最少人数で開催することも考えられます。万が一その手段をとる場合、主旨を丁寧に議案書に説明・記述し、委任状・議決権行使書で極力当人の意思表示をして頂く工夫が必要だと考えます。
A4 次年度大規模修繕工事や設備改修工事の着工をご予定されているマンションも多いかと思います。説明会を延期することは可能ですが、その分着工が遅れます。
弊社のコンサルタント業務では、今回のような特殊な場合には延長分のコンサルタント料は発生致しません。
しかし着工が遅れる場合、施工会社の現場代理人の確保等状況も変わってくるため、まずは施工会社との協議が必要になります。
また具体的な対策例として、人が集まる説明会は中止とし、区分所有者(住民含む)への配布資料をより詳細なものへ変更し、説明資料の配布で説明を周知するという組合様もいらっしゃいます。
その場合、通常のコンサルタント業務内で作成する説明会資料ではございませんので、+α資料作成業務として追加のご契約を頂いております。
【感染予防対策】
A1 基本的にマンションの住戸間での感染の可能性は低いと考えられますが、あるとすれば古いマンションや中廊下式マンションで、浴室や台所の排気をチャンバー方式(他住戸と繋がった縦穴ダクトに排気し、上階のファンで吸い上げ屋上などに排出する排気方式)である場合、ファンが止まれば空気はチャンバー内に滞留するため、他住戸から排出された空気が部屋に入る可能性は考えられます。
2003年、SARSが流行した際、香港のマンションで集団感染をした事例が発表されております。
この香港のようなケースは、各戸の区画が不完全である国や地域では起こりうるものの、日本のマンションでの発生の可能性は極めて低いと考えます。
排水パイプのトラップに水が溜まっていないため封水されず、浴室の換気扇を回すと下階の排水管内の空気が逆流することがある、との報告があります。それにより下層階よりも上層階の方が感染率が高かったことも判明しております。対策としては排水パイプのトラップが乾かないよう、定期的に水を流し封水状態を保つことが必要です。
A2 感染の可能性として高いのはやはりエレベーター等のボタン接触や、キッズスペースなどの共用部分となります。キッズスペースやジム、会議室などの共用部を一時閉鎖する対応も必要だと考えます。
また基本的なことではございますが、総会や理事会等を開催する場合には、小まめな換気やマスク着用のアナウンス、咳をされている方の自粛要請等を行う事が重要です。
以上、マンション標準管理規約を基にご回答させて頂いております。
各マンションで管理規約の内容が異なる場合も多いため、まず一度ご自身のマンション管理規約をご確認の上、理事会運営の参考にして頂ければと思っております。
弊社にはマンション管理士も複数名在籍しており、マンション総合コンサルタントとしてマンション管理組合様の全面的なサポートをさせて頂いております。
修繕工事だけでなく、防災・災害等のコンサルタントや、管理規約の見直し等の業務も承っております。
理事会でお困りのことが御座いましたら、是非お気軽にご相談ください。
※一部内容の修正を致しました(2020/3/30修正)
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